東京五輪・パラリンピックの汚職を受け、2030年冬季大会招致を目指す札幌市は、不正の再発防止策の検討を進める。だが、6月末に市が公表した見直し方針案では、「電通依存」から脱却できない体質が浮き彫りになった。五輪ビジネスにおける電通の存在感とは、どのようなものなのか。
札幌市の大会見直し方針案 東京大会をめぐる汚職・談合事件を踏まえ、組織委員会理事の一部を公募するほか、組織委を監視するための第三者機関設置などを盛り込んだ。スポンサー集めについては、「代理店への過度な依存を防止する」とした。だが、東京大会で電通が選ばれ、不正の温床を引き起こしたと問題視された専任代理店への言及はなかった。
「我々もわからないことだらけでやっていた。困っていると、電通の人脈にぶち当たる。そうやって電通依存になっていくんです」
そう証言するのは、16年の東京大会招致に関わっていた東京都関係者だ。
当時、大量の関連イベントを打ってきたが、ややこしい案件は広告会社に頼らざるを得ない。しかし、お願いできる会社は限られていた。
特にスポーツとなると、圧倒的なノウハウと人脈を持っているのは電通だったという。
スポンサー集めについても、「電通抜きでやるということはあり得なかった。招致委員会では、電通からの出向者が幅を利かせていた」と振り返る。
16年の招致は失敗に終わったが、東京は20年大会招致に成功。大会本番に向けた準備にも携わったこの関係者は言う。
「気づくと、電通頼みになっている。30年冬季大会の招致を進める札幌市も同じ道をたどるのではないか」
電通への依存体質は20年東京大会の招致が成功し、大会の組織委員会が立ち上げられても変わらなかった。
「電通の出先機関」という皮肉
組織委は、電通をマーケティ…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル